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「日本のデザイン」-美意識がつくる未来- 原 研哉 岩波新書 2011

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)
(2011/10/21)
原 研哉

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編集者から勧められた書名は「デザイン立国」だったそうである。日本の美意識が「未来への資源」とする原氏の主張にふさわしい書名かもしれない。

前掲、内田氏の「普通のデザイン」とほぼ同様のコンセプトで書かれている。日本の空間の本質を「空白」(うつろ)とすることや「茶の湯」の取り上げ、触覚性の重視など共通する部分も多い。

違いは、「普通のデザイン」に比べて、より未来志向。都市とクルマ、ライフスタイルと住い、「経験のデザイン」や「もてなしの織物」としての観光、創造性を触発する媒体としての新素材開発など、日本文化の美と知に一層の磨きをかけ、その輝きを世界に発信しようとする。

「デザインはスタイリングではない。ものの形を計画的・意識的に作る行為は確かにデザインだが、それだけではない。デザインとは生み出すだけの思想ではなく、ものを介して暮らしや環境の本質を考える生活の思想でもある。したがって、作ると同様に、気付くということのなかにもデザインの本意がある」(原氏)

古いデザインを否定し新しいデザインを次々と作りだすこと(20世紀のデザイン)がすべてではない。21世紀のデザインにおいては、世界についての新しい視点や切り口を提示することもデザインの重要な働きである。
 
明治以降、日本は欧米の文化を見習うべきモデルとして移入し、経済を中心にあらゆる分野で近代化を進めてきた。その西欧近代という偏狭なグローバリズムが日本のみならず、世界を席巻した。そのひずみや行き詰まりをみせている今日、私たちの身体に宿る日本固有の文化を発掘し、新しい時代のものとして蘇らせることが求められている。

関連図書の一つに「デザイン12の扉」丸善2001がある。

デザイン12の扉―内田繁+松岡正剛が開くデザイン12の扉―内田繁+松岡正剛が開く
(2001/06)
森山 明子、内田 繁 他

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21世紀のデザインに向けて未知の扉を開くことをねらったものである。監修が内田繁+松岡正剛。上記の関わりでは、第五の扉である人類学・山口昌男氏の「アジア発デザインの可能性」が興味深い。21世紀の文化の枠組みは非定住・混血型とし、日本的なものを絶対視せず解体すると同時に、欧米文化を含め異文化を貪欲に吸収ながら日本文化の底流に流れるアジアの感覚を呼び覚ますことが望ましいとする。
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「普通のデザイン」-日常に宿る美のかたち- 工作舎 内田 繁 2007

普通のデザイン―日常に宿る美のかたち普通のデザイン―日常に宿る美のかたち
(2007/07)
内田 繁

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4つの講演を一冊の本としてまとめたものである。記述が重複したり相互に関連したりしていることによって、日本を代表するインテリアデザイナー内田氏の考え方がよく伝わってくる。

1つ目(第1章)は「森林に覆われた風土」
日本の風土と日本人の世界観や感性について。いわば日本文化のバックボーンの確認を中心に展開する。日本の「座る文化」「靴を脱ぐ文化」に着目する。

2つ目(第2章)は「方法の記憶」
日本の伝統的な文化である「茶の湯」を今日的な文化の在り方を追究する「メソッド」として捉え直す。

3つ目(第3章)は「弱さのデザイン」

いくつかの日本美術・デザイン・工芸作品を取り上げながら近代合理主義が排除してきた微細性・可変性・不透明性・非固定性・有機性など、日本文化の固有性を再認識する。

4つ目(第4章)は「普通のデザイン」
奇をてらったデザインでもなければユニバーサル・デザインでもない、身体性を伴った日常の暮らしをつくりだすこれからのデザインの在り方を示す。

日本文化の基軸やその特性について、知見を広げるために読む本ではない。むしろ受け止めたいことは、モダニズム崩壊後、一人のデザイナーとしてどのような社会を目指し、その実現を図るかという内田氏の誠実な追究の姿である。なぜこれほどまで日本文化にこだわるのか。内田氏の主張の背景にあるものは、これからの生活における「時間や空間の在り方」(デザイン)を考える上で、日本文化の根源的性格が世界全体にとっても価値あるものだという認識である。

日本人の死生観など民俗学的見地、日本の伝統文化の特性や方法、その今日的意義など、極めて妥当性がありバランスがよい。デザイナーも言葉を磨く時代がやってきた。何度か読むうちに、中学校や高等学校の美術科の教科書のベースの一つとして使えるのではないかと思ってしまった。


プロフィール

ryoichi25r

Author:ryoichi25r

細谷 僚一 hosotani ryoichi
■ 大阪府箕面市生まれ(1948)
■ 京都教育大学教育専攻科美術工芸修了
■ 京都市立中学校教諭(美術科)16年
■ 京都市教育委員会学校指導課指導主事7年
■ 京都市立中学校教頭2年
■ 京都市教育委員会教職員課 人事主事5年
■ 京都市中学校校長5年(定年退職)
□ 大谷大学 教職支援センター教職アドバイザー4年(終)・非常勤講師3年(終)
□ 立命館大学 非常勤講師5年
□ 京都嵯峨芸術大学 教授3年
□ 京都女子大学 非常勤講師1年


履歴が示すように、専門は学校教育と美術科教育です。もともと好奇心旺盛なたちなので、様々なことに関心があります。学校教育にしても美術科教育にしても他のジャンルとのかかわりや歴史的観点から俯瞰的にみていくつもりです。

「美術科教育の未来」
2050年あたりに照準(大風呂敷)をあて、改善の姿を描こうと思っています。

「私の本棚」
読んだ本のまとめや感想をできるだけコンパクトにして整理したいと考えています。最も工夫したいことはそれぞれの本の関連づけです。

「気づ記・思いつ記」
日々の生活の中で気づいたことや思いついたことなどを日記のように表したいと思っています。


 

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