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65歳の「おじいさん」のかすかな抵抗

今日はプールで泳いだ。週1ペースで1時間程度を心掛けている。40分程度泳ぎ、20分程度水中ウオーク。デスクワーク中心になりがちな私にとって得られることは、運動した後のさわやかさというより、常に体を動かさなければならないという心理的圧迫感からの解放の方が大きい。

以前は、フィットネスクラブの会員になり、エアロビクスやリラクゼーションなど、様々なメニュがあったが参加せず、もっぱらジムでのマシンを使っての筋力トレーニングとプールで1kmほど泳ぐことにしていた。サウナに入って最後は星空を眺めながらジャグジーで手足を伸ばし満足感(解放感)に浸るのである。だが、当時忙しくて21時頃までにチェックインする日は数少なかった。「高い会費を払っているのに」と思って、6年間ほどでやめてしまった。

今通っているプールは1時間半で350円。リッチな雰囲気はまったくないが、平日は空いていて、よく泳げる。1コース3名程度。ほとんどがシニア。次第に仲間意識が芽生えてくる。今日は「おばあさん」に話しかけられた。水泳教室にも参加されている様子である。話が進む中で、自ら年齢を何気なく「カミングアウト」された。65歳。目の前に突然、鏡が出現するような衝撃を受けた。若く見ようとしているのだ。自分自身を。

いつもはしないことであるが、25mを全力で泳ぎ切った。22秒。遅いのか速いのか。65歳の「おじいさん」のかすかな抵抗である。
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「細谷メソッド」構築へ

2月23日(土)と23日(日)は龍谷大学深草キャンパスで行われた第19回FDフォーラムに参加した。主催は公益財団法人「大学コンソーシアム京都」、後援は文部科学省・京都府・京都市である。全国から1000名ほどの大学関係者が参加されている。

今年度のテーマは「社会を生き抜く力を育てるために」である。どこかで聞いたようなフレーズであるが、このテーマが示すように、高等教育の大衆化によって、すでに日本の大学も研究ではなく教育機関に大きくその姿を変えている。そして「教員中心の大学」から「学生中心の大学」へ、授業を含む教育活動においても「教える」から「育てる」に力点を移している。

FD(Faculty Development)とは、授業内容・方法を改善し向上させるなど大学教職員の資質開発研修であり組織的な取組である。

第一日目
初日はシンポジウム。2会場に分かれる。シンポⅠは「京都発!地域社会まるごと学習コミュニティ~共に育ち、共に学び合う社会を創る~」。シンポⅡは「未来を切りひらく学生を育てるには」。私はⅡに参加した。

基調講演
最初は「FDが切りひらく学生と大学の未来」と題して、NPO法人NEWVERY理事長・日本中退予防研究所所長・中央教育審議会 高大接続特別部会 臨時委員の山本繁氏の基調講演である。

山本氏はかつてフリータ・ニート支援に取り組んでいた。対処療法の繰り返しの中で、その大きな原因である中退問題に関心を向け、根本的な解決を探ろうとされる。

◆ 高校中退72,864人に対して、大学・専門学校中退116,504人(高校中退の1.6倍)。
◆ 大学・専門学校中退後、男性の54.1%、女性の63,4%がフリータか無職である。

など様々な調査から高等教育機関からの中退問題に特化したNPOが必要であると考え2009年3月に「日本中退予防研究所」を設立される。

今回の講演の趣旨は、FDにいくら力を入れても定員割れなど解消できないという実態の中で「FDに力を入れると受験生が集まる」という前提のもとに「3年で入学志願者を2割増やすには」という大変刺激的なものである。大幅な定員割れを起こしている大学関係者は、思わず身を乗り出し傾聴してしまいそうな内容である。

1 大学にメディア力(教育成果を具体的に発信する力)をつける。
① 教育力の向上を図る(FDやカリキュラム改革など)
② 教育成果の詳細な可視化(漠然と就職率を示すのではなく、A高校の評定平均3.3で欠席率1%の生徒が本学の○○科に入学した場合の就職率を明らかにするなど、より具体的なデータを示す)
③ 教育成果を伝える方法の工夫(相手の物差しで伝える)

2 大学がお化粧し高校生を誘惑するのではなく、普段の先生・普段の授業・普段の学生の姿を見せる。
① OC(オープン・キャンパス)からWCV(ウイークデイ・キャンパス・ビジット)へ
② 一次情報の誤解(根拠のない悪評・単なるうわさ・2チャンネル情報など)を払拭
③ FDの成果(授業参加度の向上・アクティブラーニングなど)や学生の成長している姿をみせる

3 高校との関係を変える(教育ビジネス化では長期的に失敗する)。
① 営業マンとしての高校訪問から、生徒の将来を真剣に考える教育者としての高校の先生と同志関係の構築へ
② マイナス情報も含めた内部情報を公開し信頼を勝ち得る
③ 高校訪問をヒアリングの場にもする「本学に足りないものは何ですか?」
④ ターゲットを絞り、高校の先生が具体的なイメージもてるようにする「こういう生徒さんがいませんか」

4 日本一学生に還元する大学を目指す。
① 日本の大学における一人当たりの学生募集費(驚くべきことに約50万円―山本氏の調査)をできるだけ教育費に回す
② 教育寮の設置による経済的負担の軽減を図る

締めくくりの言葉は「大学改革の成否は『本気』の総量で決まる」!

山本氏は20を超える大学の改革や授業改善のコンサルティングすることによって大学の立て直しに貢献されている。ニーズが多いだけにこれからもっと活躍されることであろう。

報 告 ①
その後、神戸大学 大学教育推進機構/大学院国際協力研究科の山内乾史教授から、時代の要請であるアクティブラーニングをカリキュラム全体の中で組織的に取り組む大切さ、反転授業による学修(間違いではない)時間の確保、グループワークにおける評価の在り方などについての報告があった。

報 告 ②
龍谷大学 政策学部の土山季美枝准教授からは、龍谷大学における新学科「政策学研究科」のねらいや立ち上げ過程、地域連携、政策学部FD研究会の実施などについて報告があった。

パネルディスカッション
ディスカッションというよりは、主として会場の参加者からの質問(事前の質問用紙配付)に答えると方法で約1時間をとった。

情報交換会(懇親会)
私は懇親会には必ず参加するようにしている。今回はいつもとは違っていた。知り合いがまったく見つからない。広い会場を2回ほど巡ってみたが皆無。いつもと同じ雰囲気の研究大会の懇親会。しかし、自分のたどってきた道とは、まったく異なる集団の中にいるという妙な感覚を味わった。挨拶がありビールでの乾杯があった。その後、いつものようによくしゃべった。そして数人の方々と名刺交換をした。

第2日目
2日目はテーマ別分科会。第9分科会(第13分科会まである)「授業のパラダイムシフト」を選んだ。倍率の高い分科会だと聞かされた。早めに申し込んだから第一希望が通ったわけだ。

報 告 ①
最初は、この分科会のコーディネーターでもある立命館大学 共通教育推進機構の木野茂教授からの報告である。自らの大学教師としての歩みでもある「学生の主体的な学び」への「授業パラダイムシフト」についてパワーポイントを使っての説明。丁寧で解りやすい。日本の大学では、授業の主流は知識伝達型の一方向型授業が今も主流である。いかに乗り越えるか。自らの取組や経験に基づいた内容だけに説得力があり、真摯に取り組まれている姿が伝わってくる。

報 告 ②
二人目は京都大学高等教育研究開発推進センターの溝上慎一准教授である。様々ないきさつで「アクティブラーニング」の専門家になってしまったと述懐する。溝上氏は、アクティブラーニングの定義を、一方的な知識伝達型講義を聴くという受動的学習を乗り越える意味で、あらゆる能動的な学習のこととし、能動的な学習には、書く・話す・発表する等の活動の関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴うことだとする。1990年以前のこういった流れは、その後一変する。高等教育の大衆化や学生の多様化に対応した学生の受動的学習からの脱却という大学教育内の授業改善から、検索型知識基盤社会の到来によって知の構造化や知の社会化など他者や社会との関係性(共有化)を学びに取り入れていくことが喫緊の課題として浮上する。

このことによって、学習内容の社会的文脈との接続、学習方法としてのグループ学習などが今後強く求められるようになるのは必然だろう。いわば個人構成主義から社会構成主義への転換である。

報 告 ③
富山大学 大学教育支援センター橋本勝教授は「楽ティブラーニング」を提唱する。目指すは、学生が楽しむ授業づくりである。やる気のない学生、単位だけ取ればよいと考える学生とどのように向き合うかという、今日の学生の実態を踏まえて展開である。大人数討論型の授業実践としての「橋本メソッド」とは
① 「よい授業」ではなく「楽しい授業」を目指す
学生に知識や技能を確実に身に付けさせようなどと肩に力を入れることなく、教員は自然体で授業に臨む。スライドや資料など準備しない。
② 楽勝科目なのについ頑張ってしまうムードをつくる
ゲーム性や競争原理の導入によって、ついつい頑張ってしまう雰囲気をつくる。
③ 頑張らない人が出てくることを許容する
主体的に学ぼうとしない大方の学生に①や②によって、互いに刺激し合い高め合う時期を待つ。

ベネッセ教育総合研究所「第2回大学生の学習・生活実態調査」(2012)では、
◆ 教員が知識・技能を教える講義形式の授業が多い方がよい・・・・・ 83.3%
◆ 学生が自分で調べて発表する演習形式の授業が多い方がよい・・・・ 16.7%

この数字をどう見るか。この結果から従来型の講義形式が望ましいとするのは短絡的である。この実態を踏まえ、だから「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力をつける」ことが必要であると考えることもできる。しかし、アクティブラーニングなど学生の主体的な学習方法が、学生の実態から大幅にかけ離れ、その負担感によって学習意欲をほとんど引き出せないものであれば、それも問題である。橋本メソッドは敷居を低くし「気楽に取り組めるアクティブラーニング」によって、学生の意欲や満足感を引き出そうとする。単なる個人技ではないとしながらも橋本氏の話術の巧みさも学生から大きな支持を得ている要因であろう。

同じ分科会ながら、木野茂氏と対照的な指導方針である。コーディネーターである木野茂氏が、あえて橋本勝氏を招かれたことによって論争的で盛り上がりのある楽しい分科会になった。

京都FD開発センターから新任大学教員に向けて出されている「まんが おしえて!FDハンドブック」3巻を手に入れた。(大学教員にも初任者研修が必要になってきた!?)また、分科会の報告者である溝上慎一氏の「大学の学び・入門」(有斐閣)と橋本勝氏編集の「学生と楽しむ大学教育―大学の学びを本物にするFDを求めて」(ナカニシヤ出版)を購入した。

ピアサポート、エンロールメント、ステークホルダー、ラーニングコモンズ、フリーライダー、AP,CP,DP,TA,SA,TF,OC,OCW,GCE,GPA,KPT,PSC,CSIRAS,PBL,RAS,COC,MLA,LMS,SSS,MOOC,WCV・・・・など、会期中会場で飛び交う言葉(アメリカ直輸入の業界用語)に圧倒されながら、未知の世界に足を踏み入れている感覚を強くもった。しかし、下位の目標に過ぎない行動目標を「学修の到達目標」として高等教育においても位置づけられている点、「評価規準」と「評価基準」や「評価」と「評定」の使い分けがなされていない点、観点別学習状況の評価規準の情意目標である「関心・意欲・態度」の階層性が理解されていない点、観察評価をあいまいなものとして除外される傾向など、前期中等教育出身者である私にとって、20年以上過去に連れ戻された感覚を同時にもった。

しかし、おもしろい。「新しい知の鉱脈」を掘り当てた感覚である。

フォーラム参加の2日間、新しく学んだことと自らの理論や経験とを関係づけたり結びつけたりすることに忙しかった。教員免許など資格取得系の講座は、アクティブラーニングなど学生主体の学習展開はむずかしいとされている。

さて、次年度授業にどんな工夫を盛り込もうか。「細谷メソッド」構築へ。

iPadを活用した鑑賞指導

このブログの最初の記事は、第14回全京都美術教育連合研修会報告である。16回目は2月16日(日)華頂大学・華頂短期大学で行われた。ブログ開始からちょうど2年目を迎えたことになる。

「全京都」という名が示すように保・幼・小・中・高・大の連合組織である。今回は保育園・幼稚園、小学校、中学校の発表と「京都の美術教育~校種間連携の歩み~」というテーマでパネルディスカッションが行われた。

中学校の研究発表について簡単に報告してみたい。

下賀茂中学校の服部佳代子先生の研究発表はiPadを活用した鑑賞の授業の試みで題材名は「唐獅子屏風の魅力を探ろう」である。対象は中学1年生。

デジタル画像ならではの手法を活用して鑑賞指導の充実を図る試みは、全国各地で行われている。フレーミングによる全体と部分の関係性の追究や焦点化・手書きマーキングによる気づきの共有化・色彩の変換による感情表現の効果・画像の取り出しや空白化・その空白を生徒の想像で埋める描画機能を使ってのドローイングなど、多様な活用が可能である。

服部先生の指導はこれにとどまらず、ペア学習やグループ学習を取り入れながら、iPadを感じたことを伝え合うツールとしても活用されている。批評の言葉とともに視覚を通して瞬時に伝え合い、さらにプロジェクターで映し出すことによって全体のものにしていく。指導者は個々の生徒、各グループの様子、全体の動きを掌握しながら、あいづちをうち、発問し、場合によっては軌道修正しながら展開していく。

今まさに何かが起ころうとしている感覚、その臨場感や動きある展開によって、生徒の意欲や集中力を高め、主体的に学習する態度を育てたい。服部先生にとって、鑑賞指導にiPadを授業に取り入れる意味はこのためである。
プロフィール

ryoichi25r

Author:ryoichi25r

細谷 僚一 hosotani ryoichi
■ 大阪府箕面市生まれ(1948)
■ 京都教育大学教育専攻科美術工芸修了
■ 京都市立中学校教諭(美術科)16年
■ 京都市教育委員会学校指導課指導主事7年
■ 京都市立中学校教頭2年
■ 京都市教育委員会教職員課 人事主事5年
■ 京都市中学校校長5年(定年退職)
□ 大谷大学 教職支援センター教職アドバイザー4年(終)・非常勤講師3年(終)
□ 立命館大学 非常勤講師5年
□ 京都嵯峨芸術大学 教授3年
□ 京都女子大学 非常勤講師1年


履歴が示すように、専門は学校教育と美術科教育です。もともと好奇心旺盛なたちなので、様々なことに関心があります。学校教育にしても美術科教育にしても他のジャンルとのかかわりや歴史的観点から俯瞰的にみていくつもりです。

「美術科教育の未来」
2050年あたりに照準(大風呂敷)をあて、改善の姿を描こうと思っています。

「私の本棚」
読んだ本のまとめや感想をできるだけコンパクトにして整理したいと考えています。最も工夫したいことはそれぞれの本の関連づけです。

「気づ記・思いつ記」
日々の生活の中で気づいたことや思いついたことなどを日記のように表したいと思っています。


 

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